ACSEAST 2016 パネル・論文募集のご案内 (Japanese)
1. テーマ
「変容する東南アジア政治:人民を中心とする新アジェンダに向けて」
(The Politics of Transformation in Southeast Asia: Towards A People-Centered Agenda)
2. テーマに関する説明
過去数十年、東南アジアは色々な形で変容してきた。政治の面では、王政から、殖民地支配、また現代国家へと変化し、経済においては、自給自足経済から自由な市場経済へと変貌し、社会文化面では、異文化の共存と交流によって、現代東南アジア文明のあり方を形作ってきた。
2016年は、アセアン共同体の発足元年だけではなく、地域全体が新たな局面を開拓する一年でもある。国際政治に於いて、中国の「一帯一路」構想、日本の対東南アジア援助強化、米国とロシアが競合するアジア太平洋戦略、インドの「ルック・イースト政策」など、大国政治が東南アジアに深く影響し、東南アジアとアジア太平洋諸大国の権力関係を再考する時期が来る。
その上、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)などのメガ地域主義が林立し、アセアン共同体の主導性確保や成長戦略などの方針が揺らぐ傾向にあり、新たな国際政治経済の構造が作り上げられようとしている。今後の発展として、アセアン国家はより開放的になること、また世界のサプライチェーンで活躍することが期待されるが、国家体制のあり方、現地社会の成長エネルギー、人民の厚生福祉など、新たな課題も迫ってくる。
政治情勢からみると、今年、ミャンマー、フィリピンとベトナムでは政権交代の実現が見込まれとベトナムでは政権交代が実現したが、タイの軍事政権が選挙制度を見直すかどうかにとりわけ注目が集まる。政治エリートと人民に選ばれる政権によって、政治や経済の改革を進めることが期待される一方、民意と社会のニーズが反映される政権が、如何に東南アジア政治をリードし、地域の発展を再出発させるかが注目される。
東南アジアと深く関わる島国として、台湾は今年、政権交代と同時に、東南アジアという隣人をより重視し、東南アジア社会と共に発展していくことを宣言した。「東南アジアの台湾」として、「南向政策」の再出発を図り、機会と課題に直面する今、「東南アジアへの台湾参加」が努力すべき方向性となる。
勿論、東南アジアの「変容政治」は、国際政治、地域発展、国会と社会などの課題に限らず、アセアン共同体の発足から2025年まで、「人民を中心とする(people-centered)」内部需要と発展プロセスに焦点を絞る。上掲の課題からは、東南アジアと周辺大国によって構成される新たな需要と供給が見えてくると同時に、東南アジアと台湾が交錯する発展戦略を示唆している。地域研究から見れば、「人民を中心とする変容政治」は政治学の議論に限らず、総合政策のヒントが得られ、我々にとって東南アジア研究の本質と方向性を再考する絶好のタイミングでもある。
従って、本年度が初となる、国立政治大学にて開催の東南アジア地域研究学会年会は、「変容(transformation)」をキーワードにし、東南アジアにおける各方面の変容を議論するほか、政策関係者、有識者及び業界の代表者の知恵を結集し、台湾の東南アジア戦略および今後の方向性を共に検討して頂くことを願ってやまない。なお、本年度のシンポジウムは「変容政治」というテーマを設定したが、その他東南アジアに関する論文の寄稿も歓迎している。
本年度の関連テーマは以下の7項目であり、パネル論文と個別論文(individual paper)の投稿を募集する。
(1)変貌から変容へ:第一回東南アジア研究シンポジウムが開催された16年前、中央研究院社会学研究所の蕭新煌教授より編集された専門書、『東南アジアの変貌』が発表された。第一回の研究シンポジウムを鑑にするという気持ちをこめて、この度のシンポジウムを「変容政治」というテーマに設定した。
(2) 変容する東南アジアの国際関係:東南アジア地域主義、比較地域主義、東南アジア秩序と大国関係(日本、アメリカ、中国、インド)、東南アジアの安全保障(国家安全、非伝統的安全保障、人間の安全保障)、東南アジア援助などをテーマとする研究論文を募集する。
(3) 変容する東南アジアの社会と文化:東南アジアの民族、文化、社会ネットワーク、社会発展、移民、環境問題をテーマとする研究論文を募集する。
(4) 変容する東南アジアの経済発展:東南アジアの国際政治経済、メガ地域主義、貿易枠組み、インフラ投資、産業成長戦略をテーマとする研究論文を募集する。
(5) 変容する東南アジア研究:東南アジアの国際関係論、研究方法論、アジアにおける東南アジア地域研究及び知識の創造についての比較研究をテーマにする研究論文を募集する。
(6) 再起動する「南向政策」:台湾と東アジア諸国の東南アジアに対する政策変容及び比較研究をテーマとする研究論文を募集する。
(7) 東南アジアに関するその他テーマ。
3.論文投稿
本シンポジウムの会期は二日間に渡り、初日は英語で行われる国際論文発表会であり、二日目は主に中国語で会議を行う。また今回はポスター発表と学部生を中心とする若手論文発表会も開催する。
2016 年5 月5 日応募要旨提出期限 (abstract submission format/English)
(言語:英語/中国語)(パネル論文/個別論文)
2016 年6 月1 0日審査プロセス完了・採否通知
2016 年8 月20 日原稿締め切り / 優秀論文賞応募締め切り(必着)
研究発表の採否を決定した場合、当学会が会期のホテル料金及び食事代をお支払いする。当学会年会の発表登録費は不要。
提出方式:CSEAS@nccu.edu.tw / CSEAS2016@gmail.com にて電子ファイルを投稿頂く。